10月に入って涼しくなってきました。
汗っかきの自分にとっては喜ばしいことです。
でも気温が急激に変化して体調を崩している方も多いですね、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
さて、後期の授業ももう5回終えたようです。いつの間にか。
作曲の学生たちは後期提出を控えて、課題もなかなか進められていない状態。そんな姿を見ながら自分の学生時代を懐かしく思います。
昨年度は10月、11月と立て続けに演奏会があり、合間に作曲の締め切りがあり…と、授業の資料を準備する間もなく過ぎていったので、教科書だけで授業を進めていたのですが、今年は資料を準備する余裕があるのでなるべく丁寧に資料を作成しています。
和声の授業内容は後期から一気に難しくなるので、なかなか伝えるのも難しく、課題を解く時間もかかるので…学生たちも大変そうです。
選択科目のソルフェージュの方では実際の楽曲を使って聴音させたりしていますが、最近取り扱ったのはブラームスのクラリネットソナタ第1番の第1楽章。
クラリネットの曲を取り扱うとそもそも移調管の読み替えなんかもできるので、前期でも第2楽章や第2番の方を移調譜読み、実音に書き換え等していましたが、今回はこんな感じで楽譜を作って聴音してみました。
こちらは冒頭のみですが
①クラリネットパートの空白を埋める(実音)
②ピアノパートの臨時記号を書く
という聴音。
この聴音の後に楽譜を配って答え合わせをするのですが、こんな資料も。
と、分析も行います。
この曲はもともとf-moll・ヘ短調なのですが、スコア第1ページ目から音階外のGesの音がよく出てきます。
わかりやすいところからいくと、Des-dur(下属調の平行調)もしくはb-moll(下属調)としてのGes。
上記左のDes-durではⅤ7の第7音として、右のb-mollではⅤ9の第9音として使われます。
この場合はドミナントの和音として扱われています。
ドミナントの和音は各調のⅤ系の和音ですが、これはトニックであるⅠに解決しようとする役割を持つ和音になります。よくドミナントで緊張、トニックで緩和、なんて言われますね。
次に、ナポリのⅡとしてのGes。
もともと短調のⅡというのは減三和音(f-mollの場合G-B-Des)になるのですが、この和音が忌み嫌われていたので根音を半音下げて(G→Ges)長三和音にしよう、となったのがナポリのⅡです。-Ⅱと表記されて、主に第1転回形を使います。
これはサブドミナントとしての扱いになり、ドミナントに続く和音になります。緊張のある和音のさらに前置きとして扱われているんですね。
そして最後。フリギア旋法としてのGes。
フリギア旋法というのは短調の自然短音階から第ⅱ音を半音下げた音階です。全部白鍵の状態だとEの音から順番に1オクターヴ並べた音列がフリギア旋法になります。
よく半終止のところでフリギア終止してみて~なんて言うんですが、上記の進行のAsをAとするとb-mollのⅣ¹→Ⅴになるんですね。この瞬間のメロディーとバス進行がfをフィナリス(旋法における主音のような意味)にしたフリギア旋法にも感じられるのです。
冒頭の前奏部分や、第1主題の提示の確保部分に移行するときのG♭/B♭→Fmのコード進行などがf-mollとちょっと違うこの曲の魅力になっています。
他の部分でも上述したフリギア終止のコード進行が用いられていたりします。
他にも、ある部分を抜き取って移調譜→実音に読み替えてリズム読みや、視唱もします。先の画像で抜き出した部分も別の教会旋法のようなメロディーになっているし、他にもピアノとの掛け合いを続けていくうちに拍子感がずれてくるブラームスらしい部分なんかも抜き出しています。
後期の最初は教会旋法をテーマにしているので、こうやって分析しつつ曲の流れがわかったらいいなぁ~と思ってこのように取り扱いました。他にもベートーヴェンの「春」からリディア旋法~なんていう、けっこう意外な楽曲も取り扱ったりしてます。
ゲームのBGMも教会旋法で書かれたりしているんですよね。
ミクソリディア旋法はコミカルな扱われ方したりしてるんですが、FFシリーズのチョコボのテーマ曲の最初の部分はミクソリディア旋法で書かれていたりするんですよ。面白いですよね。
といった具合に後期も頑張って楽しく授業してます。
毎週学生の様子を見ながら加減してますけどね。まだまだちょうどいいレベルをわかりきれていない新人教員です。
そして最後に。
我が家に仲間が増えました。
友人が3回UFOキャッチャーしてとれなかったゲンガーを、引き継いで1回目でとってしまった。
うちのアップライトピアノの上で2匹仲良く練習を見守ってくれています…
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